レジ袋からはみ出る「長ネギ萌え」

僕が子供の頃に読んでいた好きな漫画の台詞に、「ニューバラ好きに悪いひとはいない」という先入観に満ちた名言があった。

ニューバラとは、スポーツシューズのメーカの「ニューバランス」のこと。

僕は、その台詞と出会って以来、不思議とニューバラを履いているひとに好印象を抱くようになった。

この言葉とちょっと似ているかもしれないが、僕自身、密かに「徒歩なのに長ネギを買うひとに悪いひとはいない」と思っている節がある。

徒歩で長ネギを買うということは、たとえ長ネギが鞄やスーパーのレジ袋からはみ出るとしても長ネギを買いたい、と思ったということである。

店員さんの判断や店の都合でちょっと短めのレジ袋を渡されたら、それこそ「へなへな」と倒れ込んでこぼれ落ちそうになる。

周囲からも、「あ、長ネギを買っているひとだ」と明らかにバレる。

その恥ずかしさを耐え忍んででも長ネギを買いたい、というひとに悪者はいないはずだ。

表面上は別世界に住んでいるように見えても、出来合いの刻みネギではなく長ネギを購入したいという想いがあるなら、きっと通じ合えるものもあると思う。

実際、想像してみると実感できると思う。夜道、信号待ちをしているとき、反対側の歩道で待っている今風の身なりの若者のビニール袋から、全然収まりきっていない長ネギの上半分が出ていたら、妙にほっこりするはず。

仮に僕が長ネギをレジ袋からはみ出しながら信号待ちをし、向こうも長ネギをレジ袋からはみ出しながら信号待ちをしている状況になったら、たぶん、僕はだいぶ照れ臭く、こそばゆくなる。

早く青になれ、とも思うだろうし、誰かこの状況を斜め上の角度から写真に収めてくれ、とも思うかもしれない。

そして、信号が青に変わってすれ違いざま、思わず心のうちで “長ネギですね” と会釈さえしてしまうかもしれない。

ふとツイッターで検索したら、「長ネギ萌え」という言葉があった。

数自体は少ないものの、リュックやスーパーのビニール袋から顔を出す長ネギにギャップを感じてキュンとなると言うひとがいた。

スーツ姿に長ネギ、という組み合わせがいい、と呟いている女性もいた。

長ネギは納豆にも合うし、お味噌汁にも合う。鍋やラーメンに入れても見栄えが綺麗で、かつ「長ネギ萌え」もある。

長ネギブーム、到来するかな。

2019.3.18

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