ジョゼの朗読

ジョゼの朗読

朝、日が差していたのでカーテンを開けた。ふうが少し眩しそうな目をして、いつも布団にしている着古した僕のボーダーTシャツのなかに潜った。

久しぶりに晴れたので布団が思いっきり干せるなと思っていたら、すっかりそのまま忘れてしまった。

昼過ぎ、雲に日が隠れて少し薄暗くなったことで布団のことを思い出し、急いで外に干した。日干しができないので、そのぶんパンパンと手で叩いてみた。

天気予報だと雨模様。二時間ほどして、雨が降る前に部屋に取り込んだ。

映画版が好きで、小説版も初めて読んでみた『ジョゼと虎と魚たち』。映画版とは結構違うが、両方ともよかった。

この小説を、よくあんな形で映画にできたな、と驚く。

影響されやすい僕は、『ジョゼと虎と魚たち』みたいな文体で書きたいなと思ったし、Apple Musicで映画のサントラを探した。

サントラには、ジョゼの朗読も入っていた。

サガンの作品の一節をジョゼ役の池脇千鶴が朗読したもので、淡々と読み進められる声が切なく、強さも感じる。

いつかあなたは、あの男を愛さなくなるだろう、
とベルナールは静かに言った。
そして、いつか僕もまた、あなたを愛さなくなるだろう。
我々は、またもや孤独になる。
それでも同じことなのだ。

そこに、また流れ去った一年の月日があるだけなのだ。

ええ、わかってるわ、とジョゼが言った。

いくつぐらいだっただろう
十四か十五くらいだっただろうか。
彼女はよく、あのポプラの下に寝転がって
両足を幹に立てがけ、
風に揺れる頭上の無数の小さい葉を眺めた。

風はずっと高いところで、
か細くて、
今にも吹き飛んでしまいそうな木のてっぺんを
一緒にお辞儀させた。

『一年ののち』 フランソワーズ・サガン

買ってあったお酒をちょっとだけ水で薄めて飲んだ。ぼんやりとして頭が痛む。

眠ったら、懐かしい夢を見て、目が覚めたら抜け殻のような切なさだけが残った。

2020.9.22

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