ペットと育児ノイローゼ

ペットと育児ノイローゼ

ペットを飼う際にも、育児ノイローゼに近いことはあると思う。

僕が実際にそうだった。

もちろん、人間を育てるのと比べると責任の重さは違うかもしれないし、だからと言って、こういう風に言うと、今度は、動物の命を預かることは責任が軽いと言うのか、と言われるかもしれないので、これはあくまで僕個人が、ノイローゼに近い状況に陥った、という話。

ある小動物を飼った際のこと、僕は張り切って色々な解説書を読み、一生懸命世話をした。でも、その子は一向に懐いてはくれなかった。

もともと懐く動物ではないと知っていたので、それほど無理強いもしなかったが、それでも、その子は僕のことを嫌っているのではないかと言うほど、よく噛みついてきた。

噛みつかれ、手が傷だらけになることを、最初のうちは仕方ないと思っていたが、いつまで経っても噛み癖は治らず、そのたびに落ち込んだ。

ネット上には、そのペットと飼い主が仲良くしている写真がたくさん挙がっていた。様々な体験談やブログ、ツイッターを読み漁り、原因を考えたが、全く分からなかった。

なんでうちの子は、他の子と違うんだろうと、ずっと悩んでいた。

臆病で、一切気を許さず、巣にこもり、誰が来ても噛みつく。

もうこの年齢の頃には、普通の子なら、と他の子と比較し、一生懸命「普通」にしようとしていた。

僕は、噛みつかれ、出血するたびに、こんなことなら飼わなければよかった、いっそいなくなってくれたらいいのに、と思うことさえあった。

夢を見たことがあった。夢のなかで僕はベッドに眠り、夜更けに目が覚め(という夢)、巣箱を見ると、その子の姿がなく、とてつもない不安と恐怖に襲われ、必死に探したら、物陰で震えていた。

安心のあまり、泣き出してしまった、という夢。夢からほんとうに覚めたときも、涙がこぼれた。

そして、もう一度実際に巣箱をそっと覗いたら、ちゃんと変わらずに眠っていた。

静かに眠る可愛い寝顔を見ていたら、僕も子供の頃「普通」を求められて苦しかったな、ということを思い出した。以来、この子はこの子なんだ、と思うようになった。

あるとき、母親が家に来た際に、ぽろっと、弟の家で飼っているペットのほうが懐いてくれる、と言ったことがあり、思わず腹が立って「この子はこの子でしょ」と言った。

2020.9.28

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